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読書記録:中川政七「日本の工芸を元気にする!」

 

日本の工芸を元気にする!

日本の工芸を元気にする!

 

転職した元同期に勧められたので、読んでみた本です。
「中川政七商店」の存在を全く知らず、正直最初は「なんか安易な店名だな」ぐらいに思ってしまったけれど、実際は創業300年の老舗の奈良晒のメーカー。
工芸品を取り扱うメーカーとしては日本初のSPA(製造小売業)として表参道ヒルズ東京ミッドタウンに店を構え、タイトルの通り「日本の工芸を元気にする」のミッションの元、日本各地の工芸品を取り扱う見本市を主催する、工芸品メーカーのコンサルティングを行うなど、その勢いは地域のいち中小メーカー・卸問屋に止まらない。

本書の冒頭、まず代表取締役社長であり本書の著者である中川政七さんに対して、(こう言うと烏滸がましいが)親近感を感じることができた。

冒頭は中川さんの生い立ちから始まるわけだが、京都大学法学部を卒業し、司法浪人を経て富士通に入社し、転職して家業である中川政七商店に転職をしたという。
「潰しがきくから」という理由で法学部を選んだのは自分と全く同じだし、サークルの代表をして、後継者選びがうまくいかずその後そのサークルがなくなってしまった、という点も同じだった。
富士通入社後は「どんな人とも無駄にぶつかることなく、わりと要領よく仕事をこなすほうだったので、怒られたり落ち込んだりした記憶がほとんどない」というところも、総じて似ているな、と感じた。
冒頭がこんな始まり方だったから、その後の内容がすっと入った気がする。(そもそも、文章自体も読みやすいのはあるかもしれないけど)

本の細かい内容は割愛するが、個人的にはp32にあるようにやはり「自分で事業を動かす実感」を持ちながら、「やればやるだけ手応えが感じられ」て、「成果次第でさらに大きな仕事を任せてもらえる」という環境は本当に魅力的だな、と思った。

新卒でコンサルティングという仕事をしていると、どこまでいっても「外様」の経験しかない。
経営や戦略コンサルティングだとまた違うのかもしれないが、業務系のコンサルティングだと特に、クライアントの動向を見ながら「いかに相手を動かすか」に注力する部分が大きいので、「やればやるほど手応えがある」わけでもないし、自分ができることに常に限界を感じている。
コンサルを突き詰めようと思うのであれば、やはり経営や戦略といったより上流で「やればやるほど・・・」を実感したいなという気持ちが増したし、いつかはコンサルという「外様」ではなく「会社や事業を自分で動かす、経営する側に回りたい」と思う気持ちが非常に強くなった。

「工芸」というややニッチな分野であっても経営は経営でやることは変わらないのだし、その意味では経営の普遍性みたいなものを感じることができたな、と思う。
本の中でいくつか印象的に残った言葉を挙げるとすれば、

「決められないのと、決めたのにやりきれないのが一番ダメだ」(38ページ)

「その時点ではできないこともあきらめず、忘れず、だからといってそればかりに拘泥するのではなく、その時々にすべきことをやって着実に前進し続けていると、いつか叶う日が来る。こういう粘り強さが経営には必要だと思う。」(63ページ)

「日々の業務に追われながら、他社の優れた事例を勉強してそこから本質を抽出し、自社の戦略ストーリーに組み込む。・・・この世の中に会社の経営ほど面白い仕事も、そうそうないのではないだろうか」(129ページ)


「戦略はまだ実行していないことを決めるのだから「仮説」である。仮説の良し悪しはロジックで決める以外にないのだ」(??ページ)←メモ忘れた

とても月並みなことを言うと、経営って乗り越えなきゃいけない修羅場がたくさんあって強靭な精神力と判断力が必要なのはわかっていつつも、やっぱり面白いのだろうな、と思う。
これからも経営者の本や経営に関する本は読み続けたいと思う。